手前板前: 美味い味噌汁の作り方



味噌汁の作り方  基本のみそ汁

美味い味噌汁の条件は


@だし
A味噌
B具


この三つを最上の物にする事です。

しかし言うは易しですな。
出汁にしろ味噌にしろ日本料理の真髄ですから、最高の物って言ってもご家庭でそれを実行するのはまず大変ですわ。昆布とかつお節で出汁を取るにもそれなりの手間が必要。

家庭料理はまず作ってみるのが大切
やるまえから「面倒そう・・」って嫌気がしてしまえば、何の意味もありゃしません。手軽に作れる本物の味噌汁で、その美味さに慣れてきましたら、今度はもっと本格的なものを作ろうって気になります。そういう事になった時に「かつお節削り器」などを揃えてみればいいですね。

本枯れの鰹節と頭ちぎって掃除したイリコ。
やはり和食の味噌汁はダシ。いつかはこうして出汁を引くようにしましょう。

※いりこは頭部と内臓からエグミ・苦味が出ます。ここを取っておきますと、臭みが汁に出ませんので、柔らかくなるまで煮る事ができます。大きめのイリコですと、後で取り出して小皿に移し、醤油でもかけておつまみにも美味しいものですよ。


味噌汁作り・基本


まず味噌
寒い季節は赤を濃くし強め。暖かい季節は甘めにが基本。
※味噌汁は地方色が著しく一概に言えません。
こちらの調理別味噌仕立てもご覧下さい。
あらかじめ季節にあわせて赤と白を練っておきます。その時に昆布の細切りを混ぜ込んでおくとよいでしょう。(昆布は味噌の塩分で溶けてしまうので邪魔になりません)

次に出汁
二番出汁で結構ですが「濃度」を高くしたいので「追いガツオ」して作ります。
味噌汁の出汁は香りよりも濃さだと考えて下さい。香りは味噌の添え程度。

味噌汁の具
水気の強い材料は汁の持ち味を阻害します。ですので、下ごしらえが肝心。
例えば青菜類でしたら塩を加えた湯で軽くボイルしたあとゆるく水気を絞り、醤油洗い(二滴ほど醤油をさすだけ)します。これは味を付けるためではなく、塩分で水を抜くのが目的。また水気飛ばしの為に材料を揚げておくのもよい方法、水分はいけませんが油との相性は下記の様に良いからです。

手順
出汁を沸かして下ごしらえなしの生の具から入れていき火を通します。
アクが泡ぶきますのでよく取りましょう。

すべての具に火が入ったら味噌を溶きいれます。家庭用の小さな鍋ですと溶く時に具を損なう場合があるので茶碗などにおたまで汁を移し、そこで味噌を溶かして鍋に戻すといいでしょう。漉し器を使わなくてもこれだとダマができません。

味噌を溶き終え味をみてOKなら即火を止めます。
味噌を入れた後沸騰させてはいけません。

吸い口は吸物だけのものではありません。味噌汁にも使います。
ネギ、あさつき、三つ葉、ユズ、はもとより、ミョウガ、シソ、ゴマ、カラシ、ワサビ、生海苔、魚系なら山椒とか七味や生姜汁。
他にも色々。ほんの少量香り付け程度に使いましょう。


具との親和性
ワカメ・豆腐・なめこ・シジミといったさっぱり系の具には赤味噌強めが合います。
イモ類や魚のアラといった内容の濃い具には白味噌を使い甘くした方がよいでしょう。

塩分が気になる
そんな方は塩分を減らすバカバカしい努力をするよりも、「カリウム」が豊富な具を沢山入れてバランスさせてみましょう。イモ類や蓮根、ホウレン草や春菊などです。


魚の味噌汁
下に作り方を書いていますが、味噌を入れる前の段階で『酒』をお玉の一杯くらい入れてみて下さい。酒は和食料理にとって『魔法の調味料』なのです。


美味い味噌汁を簡単に作る方法は


あぶら」を利用する事です。「脂」 「油」 ですね。

動物性でも植物性でもどちらでもいいです。
人は本能的に脂が焼ける香りに、強烈な食欲を喚起されます。
ステーキや焼肉、焼き鳥、焼き魚を思い出して下さい。

殊に魚と野菜類のアブラは他の動物性脂肪と違いまして、リノール酸、アラキドン酸、リノレン酸という不可欠の栄養素を含んだ元ビタミンFまたは必須不飽和脂肪酸というヒトの身体に大切な栄養素を持っています。
*アブラから発生するトランス脂肪酸について
*沖縄ではみそ汁の具に肉類が無い場合、ラードやマーガリンを入れる事もある様です。また沖縄における「みそ汁」は違う意味合い(一膳の料理です)もあります。肉系のアブラには少々疑問を感じるところですが、旨味が増すのは確かです。


何も用意が出来てない場合でも、
油揚げを入れるだけで美味さを増す事が出来ます。
アブラの効用ですね


これはオーソドックスな味噌汁に見えますが、ポイントは豆腐とサイズを合わせてサイコロに切った「さつまあげ」。つまりこれも隠し味は「油」。



魚の味噌汁


おいらが特におすすめしたいのは、スーパーの鮮魚コーナーでは隅っこにポツンと置かれてる「魚のアラ」と、魚市場が近い方などはタダ同然で入手可能な「雑魚」を利用した味噌汁。*雑魚は形の一定が無い小魚の総称。商品に出来ないので価値が無いが、美味さと栄養は逆に高級魚を上回る。

これを味噌汁にする時の大事なポイントは、下ゆでしてからその湯は捨て、茹でた魚はキレイに洗ってから調理にかかるって事です。生臭く魚臭い味噌汁では旦那も子供も食卓に魅力を感じません。

必ず霜降りして汚れを落とし臭みを抜くことです。
適度なサイズにカットした後、さっと湯に通す。
表面が白くなればすぐに冷水にとり、残ったウロコや血液を除去。
粗熱がとれたらザルあげして水気を切る。

 

これを水から加熱していき、ひと煮立ち後に火を弱める。

強火にせずにじっくりと旨味と脂を引き出してから、味噌を入れます。
※味噌汁はミソを入れてからは決して沸騰させてはいけません。
魚のアクが浮いてきますので、これを丁寧に取ります。


基本的に魚の味噌汁は『白味噌』がよいです。


アラ汁の作り方


貝の味噌汁


そしてこれもおすすめなのがミネラル王者、貝の味噌汁。

シジミもアサリも、水から茹でて、クチを開いたら一度火を止めて貝を取り出します。(この場合は強火でOKですが、クチを開いたらすぐ火を止めるのを絶対に忘れてはいけません)。これは貝類は加熱で身が硬くなってしまうからで、出来るだけビタミンを失わない為でもあります。

茹で汁は味噌を入れ、調味しておきます。お椀に入れる直前に貝を戻すのがベストです。※魚同様貝も素材からの出汁だけで味噌を溶きますが、それでは物足りないと感じるのが現実でしょう。そんな時はカツオやイリコ出汁等を追加して下さい。






貝の場合は「白味噌」「赤味噌」まったくのお好みです。

関連記事 シジミ   アサリ・大アサリ  




★応用例としてたとえばモヤシを具にする場合、塩コショウしてアブラ炒めにしてから味噌汁に加えるという方法もありまして、家庭の味噌汁なら絶対そのほうが旨いです。ただしこの場合は炒め油に胡麻を使用してはいけません。


オキテ破りのニンニクあら汁は、おいらの大好物。この味はヤミツキになります。風邪気味の時など効果抜群!けど和食料理人として働いてる以上はめったに食べれないのが辛い。バカ舌になってしまうからです。


茸の味噌汁


きのこは香りが身上。香りを失わない下拵えをしましょう。マツタケの場合


なめこ類以外の茸なら煮ていくよりも焼いて火を入れて出来上がった味噌汁に加えると良いですよ。香りは勿論「歯ごたえ」も残しやすい。



味噌汁の栄養を捨てない


◆味噌汁を飲む時、必ず守るべき事があります。

汁を最後の一滴まで残さない

これはミネラル等の栄養素が汁に溶け出しているからです。
そのために薄味に調味するのが肝心です。

この味噌汁に、鮭などの焼き魚とオロシ大根にレモン、漬物、干し大根とゴボウのきんぴら、焼きノリ、イカの塩辛、ホウレン草の和え物やサラダ風、納豆、簡単な酢の物、温泉卵、季節の果実少々、そして精米の過程で足りなくなった栄養を、ゴマ、ちりめんじゃこ、タラコで補った炊きたての熱々ご飯。
こんな感じの日本料理独特の取り合わせ。品数を出来るだけ豊富にすれば、ごく自然に摂取する「全体量」も適当になります。
完璧ですね。
完全な栄養が、しかも非常にバランス良く、自然に取れます。


もし上の様な朝食を続けたら、油っぽい炭水化物主体の昼食に食指が動かなくなり、夕食時にもドカ食いの衝動が無くなります。栄養がバランスし始めた体内は、変な食事を徐々に受け付けなくなってくるんですわ。それが健康な身体を長く維持する事に継がります。

魚や貝や野菜から滋味に溢れた自然の栄養素が溶け出した味噌汁を飲むと、カロリーばかりの悪い食事を押し込まれて悲鳴をあげてる体内器官たちは、待ってましたとばかり喜びまして、その感謝の気持ちを『爽快感』として本人に返してくれます。これが『五臓六腑に染み渡る』美味さ、という言葉の真の意味です。本物の栄養があるから、本物の美味さを感じる、それが日本の味噌汁なんですね。

みそ汁その他あれこれ


本当の和食好きは味噌汁好き。おいらは、そう思うね。
おふくろの味って言うくらいだから、生涯その人にとって心の故郷の味になります。でなきゃ親不幸モンだ。だからおかみさんがたは手ぇ抜かず、味噌汁だけは、美味いもんを出してやって下さい。子供らに。味噌汁の話を始めたら、キリってもんがありませんが、簡単にいきます。旨い味噌汁の基本は、出汁と味噌。ただ、香りが良く、濃く重い出汁が味噌汁に合う、それを頭に入れといて下さい。

お宅はどんな味噌使ってます?白ですかい、赤ですかい。
ぜひ、袱紗味噌を作ってみて下さい。
茶の湯に使う小型のふろしきを袱紗と言うんですが、これは二枚の絹布を重ねてあります。これになぞらえて白味噌と赤味噌をまぜ合わせた物を袱紗味噌というんです。おいらん家では香りの高い信州の白味噌を7、コクのある越後の赤味噌を3、で合わせた袱紗味噌を使ってます。お好みで好きな配合にしてみて下せえ。単独の一種味噌より、ずっと美味くなりまさ。

ついでに、三種以上の味噌を合わせたのを、『合わせ味噌』おかみさんが化粧するときに紅をさすみたいに、白に赤を少量加え色をつけるものを『赤ざし』って言います。それと、味噌を溶き入れた後に、さめちゃいけねえってんでグラグラと沸騰させてる人がよくいますが、ありゃいけません。香りが飛んじゃう。温めなおす時も沸騰直前で火を落として下さい。


※味噌には地方色が濃く、地域によって使い方が違いますけども、現在は圧倒的に信州味噌が全国区の様です。


味噌
色々割合を変えてみて、家庭の好みに合った味噌の配合をつかむ。
出汁
味噌が「色香付け」なら本味はだし。味噌を溶く以前に旨味が香りたつ様な出汁をとってみましょう。これも試す事でどの材料が自分達に向くか分ってきます。

味噌汁の主体はあくまでも「汁」で、実はおまけです。
「おまけの楽しみ」を演出してみましょう。

寒い季節には濃く、暑い時は薄めに仕上げる。
葱、三つ葉、それに山椒や辛子や七味といった口は季節のものを微量使う。

上に書いた「あぶら」はあくまでも家庭における便宜的ショートカット。
逆に「涸れ澄んだ風味」が味噌汁の深奥ではないかと考えております。


まずは美味しいだしから

味噌汁の仕立て 各種






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