手前板前: 和食デザートの盛り付け



デザートを盛る

懐石料理の締めくくりはお茶とお菓子で、菓子は果物も含めこの場合は「水菓子」です。その頃にはお香の控えめな香りが漂い料理の幕となる訳です。所謂「デザート」は元々洋食の概念ですので和食にはありません。ですが食後に甘味を摂るという習慣は世界的な趨勢になっておりますので、全世界の料理が食べられる我が国においても当然ながらデザートは定着しており日本料理もごく自然に取り入れております。


*ちなみにこの「デザート」なる語には少し違和感があります。
デザートはdesertですので「砂漠」の意かと思います。
この言葉の綴りはdessertですので「ディサート」が正しいのではないでしょうか。専門は和食で洋食の事は深く知りませんからなんとも言えませんけど、どうなんでしょうか。しかし現在はスイーツ(sweets)なる語が増殖かつ定着しつつある様ですからそんな細かな話はどうでもいいのかも知れませんが。


デザートの盛り付け


盛り付け自体は【和食の盛り付け】に書いた事と基本的に変わりはありません。傾向としては単品の一点盛りが多いですが特に決まりごとなどはありません。会席全体の中で調和がとれていればそれで良いわけです。それこそ洋食なみにプディング、ケーキ、アイスクリームなどでも可なんでしょう。

食事は最後に食べたものが最も印象に残ります。
つまりコースの全品を生かすも殺すも締めくくりのデザートの出来栄えで左右されてしまう事すらあるんですね。この意味で大変難しい料理と言えますから、この分野の専門職(パティシエ)すら存在します。
和食の場合は主に前菜を担当する「八寸場」の板前が腕を揮います。

板場で最も重要なポジションは「煮方」であり、煮物を作る板前が一番地位が高いのですが、これは「料理の味を決める人」ですから当然です。ところがデザートの最高の味付けは「素材の持つ自然な味」ですので、これを引き出すのが和食流と言ってよく、デザート自体が料理の終わりの大事な仕事であっても、あたり(味付け)はあまり問題ではありません。問題は盛り付けなのです。


現在の傾向からしても、デザートこそ最も盛り付け方が大事なのです。和食前菜の美しさはよく言われる事で、それ専用の担当板(八寸場)もいるくらいですが、前菜がシンフォニーならデザートは「solo」だと言えるでしょう。

具体的なデザートの盛り方の注意点等はあまりありません。
「ソロ」ですから料理自体はすでに完成してる訳ですし、やはり「器」が大事になるのではないでしょうか。
器は料理人の好みなのですが、料理の色彩が派手になるはずですので、器自体に派手な彩色があるのは避けた方が良いでしょう。
涼しげなガラス鉢やキャンバス地が適してると思います。また「本場に学べ」ではありませんけども、円形の皿が使い勝手が良い感じがします。



器自体にも広く自由な発想が可能です。


そしてデザートの盛り方もやはり最大のポイントは【立体感】につきます。
高さがあればその存在感は極めて引き立つものです。


個人的にはデザートには「果物の姿造り」が一番好きです。
フルーツをそのままの形で出す物で、無加工のものです。
ただしそれでは料理ではありませんので、隠し庖丁を入れるわけです。外見は採れたての果物そのままでも、箸だけで果肉を食べれる様に庖丁を入れておくのです。
和食は割烹の割、つまり庖丁の料理であると言われますが、素材そのものに何の手も入れず、手品の様に箸で内部が食べられるこの手法こそ「和食らしい」と言えないでしょうか。




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