手前板前: 軍艦巻きの作り方




軍艦巻

軍艦巻きとは何かって言いますと、寿司のウニとイクラを思い起こして頂ければすぐに分かるはずです。昨今はもう説明の必要などないでしょうね。回転寿司に出かけますと色とりどりのグンカンが回ってますからね。マヨネーズ系のサラダ類や珍味類の多さに驚いたりします。魚介類ですと原価が高くなり利幅が薄い、それでこうしたネタで利益をあげる訳で、回転寿司にとっては無くてはならない商品です。

軍艦巻きが江戸前寿司に取り入れられたのは意外に古く、戦前と言いましょうか開戦の時期昭和16年 に銀座の名店「久兵衛」が考案したというのが定説です。特許が可能でしたら大変な事になっていたでしょうな今頃は。握りようがないイクラなどを握り鮨として定着させた大発明ですのでね。


以前「家庭で作る寿司」って観点から手巻き寿司の作り方を紹介したことがありますが、考えてみれば軍艦巻きもその類に入ります。簡単だって事ですね作り方が。なにしろ回転じゃ学生バイトやパートさんが作ってるっていいますし、軍艦海苔をシャリに巻いてネタを乗せるだけですんで。

 

イクラの握りは
イクラの握りとイクラの知識



それで軍艦巻を家庭で作る場合を想定して巻き方などを簡単に紹介いたします。それに本職の人でも首をかしげたくなる変なグンカンを作ってるのが少々目に余ります。海苔にイクラがこぼれて引っ付いていたりとか、形になってないとか、酷いのはネタがこぼれ落ちたりとかね。安売り店だからってそんなのはアレでしょうやっぱり。
「久兵衛」本店に行ってウニやイクラを頼むと「さすがに本家」と唸るくらい美しい軍艦巻を出してくれますが、あれは海苔自体が違いますので、あそこまではなかかな出来ませんけども、せめて見苦しい奴だけはお客に出さぬようにしたいものです。



軍艦巻きの巻き方


すし飯でシャリダマを作ります。
手巻き寿司用に半切りされた焼き海苔を縦三等分にハサミで切って、グンカン用の海苔を作ってください。


シャリダマをまな板においたままそのグンノリで一周させて巻き込みます。
そこにネタを乗せるだけです。
 

 


ただこれだけの話ですけども、汚く仕上がる最大の理由ですが、先ほど書いたネタ乗せると言う部分、これを「ネタを入れる」と言い直さなきゃいけません。ノリとシャリの間にスペースを作るのが軍艦巻きの本来の意味、ですから凹状の空間になっていなけりゃいけません。ここにネタを入れる。しかしこのスペースが凹状ではなく緩やかな凸状になっている、これが見苦しくなってしまう原因です。海苔で巻き締めますと四方から押される事になり自然に凸状になります。ですから巻き終わりに指先を使い凹空間にしてやんなきゃいけません。

これをしないからネタがこぼれ落ちたりするんです。たったこれだけの事をしない職人が多いのは驚くべきことです。

*回転職人はグンノリを手に持ち、握りの様にしてグンカンを巻きますが、あれは時間短縮の手法であり見た目は良いものの、仕上がりがどうしても崩れるという弱点がありますので、おすすめは出来ません。(崩れる理由は下記の軍艦巻きのポイントに)

軍艦巻のポイント
☆海苔は秒速で湿気てしまう。
シャリに当てるとその早さも増す。軍艦のネタは海苔が湿気る前に入れなければならない。数十個の軍艦を作る際に、まなに板たくさん空っぽの軍艦巻きを並べる回転板前をよく見ますが、あれでは具を乗せる時に海苔がシワシワ。せめてシャリ玉のみにすべき。海苔はネタを入れる直前に巻くべきです。
☆軍艦巻きは痩せる。
シャリは酢飯ですので、即座に水分が飛び、硬くなります。
それを海苔で巻くと、海苔の湿気りと、シャリの縮小により、「きつく締め過ぎたバンド」のごとき様になります。カウンター以外では、たとえ「シャリ小」と言われてもある程度の大きさに作らなくてはいけません。小さくなるのを計算に入れておくのです。

倒れそうな細い軍艦で、ネタがこぼれて海苔に引っ付いてたりするのは見苦しいものです。気をつけたいものです。



おいらは基本的に持ち帰りや出前に軍艦巻きを入れるのはお断りしています。それはグンカンという鮨がせいぜい数十分しか形を保っていられないからです。しかしどうしても入れてくれってお客がいらっしゃる場合もあります。その場合どうしてるかと言いますと、シャリダマを冷まします。握り鮨は人肌の温度が理想的ですが、シャリに温みがあればグンカンはたちまち見苦しくなってしまいます。海苔がしけってすまうからですね。そこで軍艦巻きにするシャリは温度を下げておくんです。これは店内で作る場合でもカウンター以外の座敷などに出す時なんか程度の差はあれ同じです。海苔の湿りの影響を少しでも減らす為に、水分の無い人造バラン(仕切り)で一個ずつ巻き込んでおくのもおみやげを食べる人への配慮です。

しかし握り鮨は基本的に「おみやげ」には向いていません。
数時間後に食べるそれはまったく別の食べ物になってしまうからです。夏場はどんなに頼まれてもテイクアウトを断り続けるなどで、おいらのお客様は理解してくれていますが、大型店などは大変ですな。「マグロの色がひどい、どうしてくれる」等のクレームが後を断たないそうです。気の毒と言うか何というか。
そういった事もありますし、鮨屋に行けない場合できればご家庭で作るのが一番良いですね。お寿司好きの方はお試しください。


軍艦巻きの応用例


「軍艦」とは読んだまんま船の形からの由来でしょう。俵の形がもっとも食べ良いからこそ握り鮨はあの形に落ち着いているんですが、たまにゃ遊び心も必要です。下のは円形に巻いてあります。

これだと生エビがメインに見えてしまいますが、これは「アンキモ」をもっと違う方法で食べてみたいと思って作った寿司です。アンキモは旨いものですが、毎回ポン酢に紅葉卸ではどうもね。


まずは蒸しアンキモを炙り焼きにします。


ホタテの貝柱も用意。ホタテでアンキモを挟み
 

さらにホタテにも焼き目を入れます。
 

これを鮨飯にのせまして、海苔で円形に巻き込みます。
 

これに生甘海老をのせて味全体に深みをつけ、出来上がり。
 

ポン酢醤油をベースに洋風の隠し味を加えた少々エッセンスの効いた造り醤油を少量かけて食べます。この寿司の「立体感」、つまり「高さ」ですが、ここから何かお気付きの人がおられましたら嬉しく思います。



自宅で回転寿司と同じ味プロ使用の軍艦ネタ色々




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